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No.48 あの人は今・・



 3月末から4月頭にかけて、主人と初めて日本に旅行に行ってきました。前職で3ヶ月ほど日本に住んだことがある主人ですが、実に11年ぶりに訪れたのです。 


 その11年前に住んでいた際に、主人の家族が日本に遊びに行き、その時のオモシロ体験談を義弟が語ってくれました。当時21歳の義弟は、ある夜一人で六本木に遊びに行きました。するとまずはナイジェリア人たちの客引きに出会いましたが、それを無視して歩いていると、今度は白人男性に声をかけられたのです。ちょっと挨拶を交わしただけで「もしかしてハワイから来たのか?」と言われ、「そうだ」と義弟が答えると、その彼は、フロリダ出身のアーティストで、一時期ハワイにも住んでいたことがあると話してきました。つまり、ハワイで暮らしたことがあるから、義弟の喋り方でハワイ出身だとわかったのだというのです。それから、「ワイパフ出身のヤツがやっているバーがあるから行くといいぞ」と教えてくれ、それはいい!と思って向かいました。



 無事そのバーを見つけて中に入ると、実際にワイパフ出身のサモア系の男性がいて、自分もエヴァビーチから来て、さっきここを教えてもらったと説明したら、とても喜んで歓迎してくれたのです。ところが、早速ビールをオーダーして、日本人バーテンダーがグラスについで出してくれたのですが、それをさしだされた時に、彼の小指がないことに気づいてしまったのです。とっさに「確か、子どもの頃ディズニーチャンネルで見た番組で、日本で小指がない人の意味は、ヤ◯ザだってやっていたよな」と頭の中でぐるぐると思考が駆け巡りました。それから、自分の隣りに座っている客をみると、白いスーツに金髪だったり、いかにも・・な人で、「オレ、もしかしてやばいとこ来ちゃった?!」と焦りだしました。幸い、周りは英語がわからなかったので、そのワイパフ出身の彼との会話は聞かれても問題なし。「ここってそれ系の店?」と尋ねると、「そうだよ。でも、ヤツらは金のことしか考えてないから大丈夫。おまえに危害は加えることはないよ」という返事で一安心したのです。

 ホロ酔いで上機嫌になったところでお会計を済ませようとしたら、「いらないよ!」とご馳走するというワイパフ出身の彼。でも、義弟は「いやいや、それは悪いから!日本はチップいらないの知ってるけど、あんたはハワイ出身だから、これチップ!」と言って、1万円ものチップを彼に渡して、その店を去ったのだそう。



  すると今度は駅までの道がわからず、ちょうどいた警察官に尋ねたら、ジェスチャーでこの道まっすぐと示され、それから信号を”Right(右)”と英語で言いながら、手は”左”を指していて、一体どっちだろう?と思いつつ言われた方に歩き、そして、途中「日本に来たからにはパチンコをしてみたい!」と思って、パチンコをしてから帰ったと話してくれました。



 今回私たちも六本木方面に行く予定があったので、そのバーまだあるかな?とGoogle Mapで調べてみたら、残念ながらなくなっていて駐車場になっていると判明。そのワイパフ出身の六本木のバー経営者は今一体どこで何をしているのだろう? 生きているのだろうか?まずそこから心配になりますね。


*注意* このコラムは、2018年4月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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