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No.19 アンクルブッチー


 先月全米で大きな話題となった俳優チャーリー・シーンのHIV感染告白のニュース。驚きながらも、「彼ならありえる」と思った人も多いのではないでしょうか?すでに4年前に感染していることがわかっていたという内容を聞いて、主人が「だから、彼は、おかしな行動をとるようになったんだね」と言って、なるほどと思いました。私たちが大好きなドラマ『Two & a half man show』も降板にさせられてしまうほど、ハチャメチャな言動に走ったのは、HIVであることがわかり、自暴自棄になったということでしょうか。もしくは、病気に関係なく、もともと素行が悪かったのかもしれませんが。


 さて、実は、我が家にも、HIVで亡くなった親戚がいます。義母の弟なのですが、15年前に亡くなっています。 主人と出会ったばかりの頃、「一人アンクルはすでに亡くなっているんだ」と聞き、「ずいぶん若くに亡くなったんだね?死因は?」と尋ねたら、「HIV」と答えが返ってきて、目が飛び出るほど驚いたのを覚えています。まさかこんなに身近にHIV感染者がいるなんて夢にも思わなかったのです。義母が兄妹の中で一番仲が良かった弟だったようで、毎回そのアンクル ブッチーの話しになると、「みきも絶対気にいっていたはずよ」と言います。


 アンクルブッチーは、若い頃は女性と付き合っており、主人と同じ年くらいの子供がいるようですが、一度も会ったことがないのだそうです。その後同性愛者となり、男性とずっと付き合っていました。カリフォルニアにもデイケアーの仕事をしながら長年住み、義母はよくそこに遊びに行っていたそうです。主人たちにとっても、大好きなアンクルだったようで、「とにかくいつも発想が突飛で面白かった」と言います。義姉の話しによると、アンクルブッチーは、「HIVの治療法は、あれはアメリカ政府がコントロールしていて、同性愛者を排除しようっていう陰謀があるんだ」と言い張っていて、だから、一切病院が勧める治療は受けず、古代ハワイの伝統的薬草治療をおこなうカフナ・ラパアウに治療に通い、処方されるハーブの飲んでいたと言います。義姉は、「アンクルのその陰謀説を聞いた時は、そんなバカな!って思っていたけど、でもね、本当にHIV感染者仲間の中で、一番長生きしたのはアンクルだったのよ。他の人たちは、普通にお医者にかかって治療を受けていたんだけど、あっという間に亡くなっちゃって。だから、アンクルの言っていたことも当たっていたのかも」と言っていました。


 また最近(霊感が少しある)義弟が、夜寝ている時に、耳元に何か感じて目が覚めた話しをしており、それを聞いた義母が、「ブッチーが生前よく、『俺が死んだら、耳をくすぐりにいくからね』って言ってたわ!」という話しになり、大騒ぎでした(笑)

HIV感染者だったとはじめ聞いた時は、正直偏見をもって見てしまいましたが、聞けば聞くほど「会ってみたかった」と思う魅力的なアンクルで、いつか私の耳をくすぐりに来ないかなぁと思っています。



*注意* このコラムは、2016年1月に「日刊サン」に掲載されたものです。


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