• Miki Cabatbat

No.5 アンティ マサコ

最終更新: 2017年10月8日


 この家族に日本生まれの日本人が嫁いだのは、私が第1号だろうと思っていました。ところが、先輩がいたのです!彼女の名は、「アンティーマサコ」。 商船で世界中を廻っていた義母の叔父さんが、日本の横浜に行った時に出会い、そのままハワイに連れて来てしまったのだそうだ。男前で、一度溺れている人を巨大な船から飛び込んで助け、表彰されたという武勇伝まである叔父さんですが、一つだけ難点が。それは、「酒癖」が悪かったのです。そして、ある時、結核を患い入院。車の運転ができないアンティーマサコを、叔父さんの親友(プエルトリコ系)が毎回病院まで送り迎えをしてくれました。この親友が、優しくて思いやりのあるジェントルマン。その送り迎えを何度もしてもらっているうちに、ついに2人は恋に落ち、アメリカ本土に駆け落ちをしてしまったのです!


 その事実を知った叔父さんは、大激怒し、周りの人を「おまえたちのせいだ!」と責めたてましたが、皆、「私たちは悪くないわよ。全部自分が悪いんじゃない」と言い切りました。更には、これほどの大騒動を起こしておきながらも、「それでも、皆、アンティーマサコのこと好きなのよ」って言うのです。


 そんなアンティーに会ってみたいと思いつつも、アメリカ本土に雲隠れしてしまったのでは無理かなと、半ば諦めていたら、思いもかけず、先月親戚のお葬式でお会いする事ができたのです!そして、何も知らない振りをして、自己紹介をし、少しだけお話ししました。アメリカに来て50年経ち、日本語より英語の方が楽なようで、終始英語で会話。40年間サンフランシスコの方で暮らしていたが、高齢で色々と不便が多くなったので、ハワイに最近戻って来たとのこと。どうやらうちの近所のシニア用アパートに住んでいるそう! お子さんはおらず、やはりハワイは住みやすくて良いとおしゃっていました。隣には、アンティーをさらったアンクルも寄り添っており、仲睦まじいご夫婦でした。


 周りの人たちも、まるで何もなかったかのように、ご夫婦に声をかけていました。恐らく、お二人がご高齢であるからかもしれませんが、それよりも、元夫だった叔父さん(故人)には申し訳ないですが、皆、このご夫婦が駆け落ちしてしまう理由が理解できるからなんでしょうね。


 前回のコラムで、プエルトリカンたちは情熱的な恋愛をするという内容を書きましたが、きっとアンティーマサコも、まさかこんなドラマが待ち構えているとは夢にも思わず、ハワイに嫁いだことと思います。日本人嫁第2号となる私は、もちろんそんなドラマは望んではいませんが(笑)、アンティーのように愛される人間になりたいなぁと思っています。



*注意* このコラムは、2014年11月に「日刊サン」に掲載されたものです。

アンティマサコは、2017年8月に亡くなりました。心よりご冥福をお祈り致します。


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