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No.50 こじらせ男



 今我が家では、またマウイ島のアンクル(義母の弟)の養子である4歳の男の子を預かっています。前々からこちらに登場しているフィリピン系のガールフレンドとは、結局まだつきあっているらしく、そんな彼女もいるのに、それどころか彼女の子供たちも一緒に暮らしてアンクルが面倒みているのに、自分の息子のプリスクールが休みの間は誰も面倒がみられないということで、義母にベビーシッターを頼んできたわけです。


 ところが、到着予定日の夜、義母は空港に迎えにいく準備万端にしていたのに、アンクル親子は来ませんでした。義母は、「あのワヒネ(*)が、弟のお財布を隠したみたいで、結局IDがないものだから飛行機に乗れなかったのよ!」というのです。それを聞いた瞬間に、ガールフレンドの精神は大丈夫か?と心配になりました。 


 結局1日遅れてやってきて、深夜の便で来て、翌日早朝にはもうマウイ島に帰ってしまったので、私はアンクルに会う機会はなかったのですが、義母にはガールフレンドがどんな奇行&愚行をしているかを愚痴っていたそうです。喧嘩するたびに、彼女名義になっている電気をとめてお金も銀行口座から抜き出して出て行くだとか、また、アンクルの息子に八つ当たりをするらしく、ここでとても書けないような罵声を浴びせるそうなのです。前妻も相当な人でしたが、それを上回るくらい今の彼女の方が人としてありえないように感じてしまいます。ここまでくると私の中では”ホラー”の域にきています。


 義母も本当に呆れかえっていて、「あなた、なんでこんなことになっているかわかる?! きっとね、結婚式をドタキャンして別れたコロンビア人のあの子が、カフナ(*)に頼んであなたを呪っているのよ!」と思わず言ったそう。意表をついた義母の発言に、そうくるか?!と驚きましたが、でも、よくよく考えると、一理あるなと思いました。義母からすると、今起きている災いは自分の今までの行いが起こしているということを伝えたかったのだなと。というか、これって私ではなく、アンクルに気づいてもらいたいことすが・・苦笑


 そして、前回預かった時は、アンクルの次男と交互で面倒をみていましたが、今回は我が家が丸々面倒をみることになっています。40歳の次男は、典型的なラテンボーイで、全く落ち着く気のないシングルを謳歌している感じでしたが、ここ数年付き合っている彼女とは真剣交際をしており、ほぼ彼女の家で同棲の様な生活をしていました。ところが、現在喧嘩中ならしく、自分の一人暮らし用のコンドミニアムに戻っていて、4歳の弟を面倒みる状態ではないらしいのです。


 こういう状況になるのを想定して、ほとんど住んでいなかったコンドミニアムは引き払わずにいたところがすごいなぁ〜とも思うし、また、弟のベビーシッターをするのにどれだけ今のガールフレンドに頼っていたのだろう、とも思います。

 とにかく、あまりのよく考えずにした人生の選択(養子縁組をしたことや、今の彼女とつきあったこと)が、どれだけ周りの家族を振り回しているのか、いわゆる、自分がどれだけ「こじらせ男」なのかをアンクルに気づいて欲しいと切に願ってしまいます。


*ワヒネ (Wahine) - ハワイ語で" 女性" という意味

*カフナ (Kahuna) - ハワイ語で"聖職者"という意味


*注意* このコラムは、2018年6月に「日刊サン」に掲載されたものです。




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