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No.25 米軍属の妻として考える


 先月沖縄で起きた女性暴行殺人事件。なんとも卑劣で残虐極まりない事件でした。私は当初事件のことを知らず、Facebookでこの事件を取り上げながら「沖縄基地反対」を訴える人たちを目にしてしりました。その印象から 「沖縄にいる米軍人が起こした事件」なのかと思い、主人に「こんなひどい事件があったんだよ」と話しました。そして、主人が理解しやすいように、英語でのニュースを検索し、内容を読んでいたら、犯人は「Contractor(契約社員)」であると書いてあったのです。



 よくよく読むと、犯人は、元海兵隊員で、沖縄出身の女性と結婚し、米軍の契約社員として仕事を得て働いていたというわけです。それから、改めて日本語の記事も読み漁ってみると、「元海兵隊員で、米軍属」と書かれていました。さらに「軍属」という言葉を調べると、「軍の組織に所属しない民間の米軍関係者をそう呼称している」とあります。つまり、米軍関連の仕事のContractor (契約社員)を「軍属」と日本語では表現するのだと知ったのです。 

 


 実は、私の主人も「軍属」です。現在アメリカ連邦政府管轄の軍事産業の会社に契約社員として働いています。だからこそ、この事件が他人事に感じず、どう日本では報道されているのか、とても気になりました。

 インターネットででてくる情報でしかなく、私の見方も偏っているかもしれませんが、犯人は結局、米軍に雇われた「民間人」であるだけで、もう軍人ではないのに、「元海兵隊員」という言葉が強調され、また「米軍属」という言葉から、まるで未だに軍人であるという印象になっている気がしました。

そして、「米軍人」=「悪者」となり、「米軍は日本からでて行け!」となってしまっている、ちょっと筋違いな訴えになっていると思えるのです。



 決して米軍の肩を持つとかではなく、私は、物事の本質を考えたいと思っており、今回の事件は、決して米軍基地があったせいで起きた事件ではなく、結局アメリカ人とか日本人とか、国籍も関係なく、一人の人間が起こした事件だと思っています。きっと犯人は、何人であろうが、どこに住んでいようが、こういう事件を起こす要素をもともと持っていたのではないかと思うのです。



 唯一よかったなと思ったのは、犯人がいまだ軍人で、もし米軍基地内で捕まっていたら、アメリカの法の元で守られてしまい、軽い罰ですまされていたかもしれない。それを思うと、民間人で、日本の警察に捕まって、これからきちんとした裁きを受けて欲しい、と切に願います。 



 正直に言って、軍属の主人と結婚しなかったら、あまり深く考えず、「米軍人がまた酷い事件を起こした!」としか考えなかったと思います。改めて、正確な報道をする難しさと、報道を正しく読み取る難しさを感じた事件でもありました。

 最後に、被害者の方のご冥福を心からお祈り申し上げます。


*注意* このコラムは、2016年6月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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