No.9 男性に求める「当たり前」基準の違い
昨年テキサス州に住む 義母の親友が、我が家に1週間泊まったことがありました。義母とそのアンティーは、若かりし頃一緒に飲みに行って遊んだり、結婚後も家族ぐるみでつきあっていた仲でした。義母の話しによると、ハンガリー系のバッググラウンドを持つアンティーは、まさに“ジプシーそのもの”だそうで、場所を転々とし、そのうちに4度結婚。最終的に、今のテキサス州に落ち着いたようです。
ハワイ島に住むご両親がまだご健在で、里帰りをするために来たわけですが、その前に、オアフ島に滞在。その間に、出産したばかりの19歳の孫が、赤ちゃんの父親である彼氏と結婚をするということで、大慌てでその準備を手伝っていました。実は、話しは想像以上に複雑で、その孫(実娘の子供)を養女にしており、戸籍上では、アンティーの娘になっています。そして、結婚相手の男の子は16歳という若さでした。法律上なんら問題はないのですが、日本人の感覚からすると、不安な要素だらけ。他人事ながら、「大丈夫かな?」と心配になりました。
とりあえず、無事2人は入籍をし、その場に証人として立ち合え、無事親(祖母?)の責務を果たして安心したアンティー。ついに、オアフ島を旅立つ時が来ました。すると、別れ際に、「あなたは本当に恵まれているわよ。彼(主人)は、ちゃんとした仕事について真面目に働いているし、犯罪歴もなければ、ドラッグもやってないし、本当によかったわね」と声をかけてくれたのです。正直私は、それを聞いた時に「基準がそこですか?!」と内心つっこみながら、吹き出しそうになりました。もちろん、アンティーは真剣そのものなので、「そうですね」と頷きましたが。
しかし、今一度振り返ってみると、私が独身時代も必ず聞かれ、また、今や独身の子に会って聞く事といったら、「どんな人がタイプなの?」という質問。そして、ハワイの生活に慣れてくればくるほど、日本にいた時にはなかった条件が、必ず1番にあがってきます。それは、「ちゃんと仕事をしている人」です。日本では、当たり前のことなので、条件にしようとすら思いもしませんでしたが、ハワイだと、男性に求める条件の基準がまったく違うのだと気づいたわけです。
それを思うと、アンティーの言っていたように、「犯罪歴がなく、ドラッグもやっていない、ちゃんと真面目に仕事をしている人」の方が、ハワイでは珍しいのかもしれない。さらに加えると、「子供なしの未婚」の独身者に出会う可能性は、もっと少ない。だから、晩婚でありながらも、主人のような人と出会えたのは奇跡に近いのかもしれない。そして、普通であることが「当たり前」でなく、もっと感謝していかなければいけないなと思いました。
*このコラムは、2015年3月に「日刊サン」に掲載されたものです。
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