• Miki Cabatbat

No.8 義父は異端児

最終更新: 2017年10月8日


 義父は、フィリピン生まれの人で、20代前半でアメリカに渡って来たようです。全部で8人兄妹の3番目。一番下の弟さんは、すでに病死しており、健在なのは7人。そのうち3人はサンフランシスコに住み、4人がハワイに居を構えています。アスベストが原因でなる癌を患っているので、丈夫ではないものの、元気な時は、フィリピン料理や刺身を作ったり、大変マメな方なんです。また、とても子煩悩で、義母の連れ子である義姉や、その子供たちのことも、まるで自分の本当の子供や孫のようにして可愛がっています。ひょうきんで、いつも冗談ばかり言い、たまにその冗談が過ぎて義母の怒りをかっています(笑)


 実は、カバットバット家で、フィリピン人を配偶者として選ばなかったのは、義父だけ。他の兄妹は全員、フィリピン人同士で結婚をしているんです。つまり、義父はカバットバット家の異端児。義母がよく、「私たちがつきあい始めた時は、彼のお兄さんが猛反対で、私たちを別れさせようと必死だったのよ」と言います。反対していた理由は、義母に子供がいたこと。更に、その子供のお父さんが札付きの悪だったことが大きかったようですが、それに加えて、“フィリピン人じゃないから”だそうです。そんな反対にあいながらも、義母への愛を貫き通した義父。しかも、義母は、プロポーズされた時に「No」と断ったという驚きのエピソード付き。義父にとっては、実の子である主人が10歳の時に、めでたく籍をいれたのですが、それまで一途に義母を思い続けた義父なのです。

と、私が、ごく最近まで知っていた義父の事実はここまで。



 ところが、今年に入って、新たな衝撃事実が明らかになったのです!義母は、昔義父の首にある傷跡が気になり、「その傷、どうしたの?」と聞いたら、「単なる切り傷だよ」としか言わなかったそうで、その時に、「何か言いたくないことがあるんだな」と察したそう。そして、兄妹から聞いた話しが、「彼は、フィリピンで若い時に、ギャングに殺されそうになったんだよ。ナイフを首につきつけられて、それでできた傷なんだ。このままフィリピンにいたら危ないっていうんで、アメリカに来たんだよ」と。私だけでなく主人ですらも、初めて聞く話しに、ビックリ仰天。「まさかあの人にかぎって••」の心境です。しかし、どおりでフィリピンに未練がないようにみえたわけだ、と納得する部分も。何よりも驚くのが、義姉の父親だった人が、手のつけられない悪だったと聞いた時、「でも、最後はまじめで家庭を大事にする義父を選んだのがすごいな」と思っていたのですが、実は、義父も昔、悪だったとわかり、義母の無意識でそういう人に惹かれている事実に、目に見えない心の不思議な作用を考えずにはいられませんでした。


*注意* このコラムは、2015年2月に「日刊サン」に掲載されたものです。


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