• Miki Cabatbat

NO.59 本当にあった「新生児取り違え」事件

最終更新: 2019年5月12日


昨年からフラを習い始めています。クムの自宅のガレージで教えている、とっても小さなハラウですが、何よりも家の近所というのが大きなポイントで、そこに通うことにしました。60代後半のフィリピン系のクムは、身長が150cm弱という小柄な体型とは裏腹に、とってもパワフルな女性です。



 ある日レッスンに少しばかり遅れて行ったら、他の生徒たちとクムが何やら何か話しこんでいました。どうやらクムが60歳になった時に「セリアック病」と診断されたという話しでした。聞きなれない病名でしたが、クムがいうには、グルテンを含んでいる食糧の摂取によって免疫系を刺激して小腸粘膜を損傷してしまう病気だそうで、だからグルテンフリーの食生活をしているとのことでした。「ふ〜ん、そんな病気があるんだぁ」くらいにしか皆思っていなかったのですが、その後にクムが、「それで医者に『もしかしてあなたは養子なのか?』 って聞かれたのよ」と言うのです。 へっ?何?!と皆がキョトンとしていると、「セリアック病って白人がなる病気で、医者は私の両親のバックグランドも調べて、『あなたの両親ともにフィリピン人だよね?』って聞かれたから、『そうです。両親ともに100%フィリピン人です』って答えたの」と言ったのです。ここまで聞いて私はすぐに、フィリピン人だって、スペインの植民地時代があったわけだから、白人の血が混ざっていたっておかしくないよな?と思いました。ところが、クムがこの後驚きの事実を私たちに語り始めたのです。




 「実は、私、子供の頃からずっと母親に『私は間違った赤ん坊を病院から渡されたのよ』 って聞かされて育ったの」と言うのです。クムは4人姉弟の3番目で、つまりお母さんからすると3度目の出産経験です。それで、退院する時に赤ん坊を看護師から渡された時に、すぐに「この子は私の子じゃない」と思い、伝えたそうなのです。ところが、看護師は、赤ん坊と母親につけられたバンドの番号を確かめ、一致していたことから「いや、この子があなたの子よ」と言われたそう。それでも、産んですぐの時に抱っこをし、我が子の顔をみたから、自分の子の顔はわかっている。絶対にこの子は違う!という確信があったそうで、それを何度も主張したそうですが、看護師は、逆に、「この子があなたの子」と言ってきかず、結局その子を渡され家に連れて帰ったのだと言います。しかも、お母さんは、自分と同じメアリーという名のフィリピン系女性が、同じ日に女児を産んでいたのを知っていて、その女性と話しをしていたのです。しかも、その女性のご主人は白人だというのです!




その女性とは出産直後に話したきりで2度と会うことはなく、今のようにSNSやDNA鑑定などもない時代ですから、真相はわからないまま育てられたわけです。それでも、例えばある日ビーチに連れて行ったら真っ赤に腫れ上がりER行きになったり、また、8歳まで白米が食べられず、マッシュポテトを食べていたとか、明らかに上の姉たちとは全く違う子供だったそう。家族写真も見せてもらいましたが、確かに、同じブラウン色の肌でもクムだけ誰よりも薄く、背格好も違います。クムは「ちょっと数奇な人生なのよね」と笑っていましたが、この衝撃的事実に、その場にいた全員「そんなことってありえるの?!」としばらく呆然としていました。しかも、クムのファミリードラマはこれだけで終わらないのです ・・To be continued



注* このコラムは、2019年4月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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