• Miki Cabatbat

No.40 「恥」の基準

 



 今年5月のある日突然義母が、義姉家族が住むグアムに行くことになったのです。なんでもギリギリに予定が決まる我が家ではありますが、それでもさすがに今回の旅は唐突すぎて驚き、主人に「本当に3日後にグアムに行くの?何かあったの?」と尋ねました。


 すると主人が「知りたい?もし事情を知ったとしても知らない振りしてね」言うのです。そんな風に切り返されるとは想像もしていなかったので、一体何事かと思ったら、義姉は随分昔に脳動脈瘤の手術をしており、頭に金属がはいっていて、その影響でものすごい偏頭痛持ちなのです。生活に支障をきたすくらい頭痛がひどいので、最近ではサンフランシスコまで治療にいくほどでした。その頭痛に効くかなり強力な鎮痛剤を飲んでいるのですが、その鎮痛剤欲しさに、軍の病院と一般の病院の両方の医者に行き処方してもらいそれがバレて、リハビリ施設に通わないといけなくなったのだと言います。

アメリカ在住だとわかりますが、強い鎮痛剤は麻薬成分が含まれており、過剰な摂取は危険です。つまり、義姉はその鎮痛剤の中毒とみなされ、その中毒を治すためにリハビリ施設に通わないといけず、その間孫の世話をするために義母はグアムに飛んだのでした。



 主人は「姉にとっては恥ずかしいことだから、彼女と話してもこのことは一切触れないでね」と私に念を押してきたので、一応「わかった」とは返事しました。でも、正直私からすると何が恥ずかしいのかさっぱりわからないのです。この話を聞いた瞬間私は「その薬に頼りたいくらい頭痛がひどいんじゃない!かわいそうに」と同情し、別に恥ずかしいことでもなんでもないと思ったのです。



 それを言うなら、先日親戚の高校卒業パーティーで、たまたま同じテーブルになった人が昔刑務所に勤務していたと話していて、義母が「(囚人だった)うちの甥っ子知ってるかしら?」と聞いていて皆で大笑い。それから、アンティ(義母の妹)が、「その甥っ子と私の主人サイドの甥っ子が、偶然アリゾナの刑務所で一緒になって知り合いなたったのよ!すごいと思わない?! 」なんて話しに発展し大盛り上がり。私からすると義姉の件より、こっちの方が「恥ずかしいこと」に思うのですが、家族はよく大っぴらに話しています。



 もちろん罪を犯したことは悪い、というのは皆重々承知していて、2度としないことを誰しも願っています。ただ、日本だとこういう状況だと、家族全員が悪者になり、世間からも非難を浴びてしまうので、それこそひた隠しにすると思うのですが、アメリカは、個人の問題と捉えて、家族とは切り離して考えているのがよくわかります。また、多分自分の子供ではないこととドラッグか窃盗関連の罪で、少なからずとも殺傷事件ではないということも大っぴらにできる理由かもしれません。

 


 いずれにせよ、日本とアメリカの「恥」と思う基準の違いによく驚かされます。

ちなみに、義姉は施設通いも無事終わり、義母も2ヶ月間の孫の世話から解放されハワイに戻ってきました。




*注意* このコラムは、2017年8月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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