• Miki Cabatbat

No.21 「普通の人」ってどんな人?


 30歳になったばかりの義弟が、先日転職をし、クウェートに引っ越してしまいました。穏やかでブランドものなど興味のない地味な主人とは全く性格が違い、義弟はブランド大好きな派手好きで、いつも大声で喋ります。笑う時も大声で笑、私たちはそれを「悪魔の笑い」と呼んでいます。そんな義弟も、幼少の頃は言語の発達が遅かったらしく、幼稚園で「家庭では、英語以外の言語で話していますか?」と聞かれたほどだったらしいのです。確かに、義父はフィリピン人でしたが、兄弟がタガログ語で話しかけても、英語で答えるほど頑としてタガログ語を喋らない人だったので、もちろん家庭内でも英語のみ。心配した義母は言語学習のセラピーに連れて行ったそうなのですが、今では「あの時のセラピーがききすぎた!」と冗談がでるほど、よく喋る人間です(笑)


 20歳になった時、突然「イラク戦争にいく!」と自ら志願して軍に入りイラクに行きました。両親ですらも「クレイジー」というくらい、突拍子もない行動をする義弟なので、今回のクウェートへの転職を決めた時も、驚きながらも、「ヤツらしい」と周りは思っているところがあります。



そして、日本から遊びに来ていた友達と義弟の話しになった時、その時はまだクウェートに転職するなんて夢にも思っていなかったのですが、友達が一言「義弟さん、変わっているんだね」と言われ、すごい違和感を覚えたのです。 

確かに、家族ですら「クレイジー」とは言いますが、決して、義弟は”変わっている人“には当てはまらないと思うのです。反対に、 “普通の人”って一体どんな人のことを言うんだろう?という疑問も生まれました。 とかく”普通”が大好きな日本人は、世間一般に通じる普通概念があり、それにあてはまらないとダメ!という社会です。しかし、アメリカに住んでいると、日本の常識からは考えられるない様なビックリする人にたくさん会うので、日本人がもつ「普通の人」「変わった人」の概念が全くアメリカではあてはまらないのだと気付きました。極端な話し、日本の概念を押し通したら、アメリカ人は全員「変わった人」になるのではないかとも思います。



 恐らくこの場合、義弟は「個性的」な人間という表現の方が合っているのかもしれません。それでも、客観的に義弟が職場にいる姿を想像してみて、「アイツ、個性的だよな〜」なんて同僚に言われているところが想像つかないのです。というのも、きっと周りも皆個性的な人たちのような気がするからです。それこそ性格が真逆な主人が”普通な人間”かと言ったら、クエスチョンマークになるわけで、改めて、アメリカは、その人のありのままを受け入れる社会だなぁと思います。これも移民で成り立っている国であるがゆえでしょうか。

 さて、クウェートに到着した義弟とFaceTimeで話し、とても遠く離れたところに行ってしまったとはいまだ実感がわいていません。目の前が海の広い素敵なコンドミニアムが会社から用意されており、同じくハワイ出身のルームメイトがいるのがわかりました。お互いのプライバシーはきちんと守られていますが、主人がぼそっと「ルームメイトは、弟がどれだけクレイジーかわかってないだろうなぁ〜」と呟きました。結局義弟は、変わった人でも、個性的でもなく単なる「(人に無害な)クレイジー」な人なのかもしれません(笑)



*注意* このコラムは、2016年3月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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