• Miki Cabatbat

No.16 クオリティ・オブ・ライフ



2週間前、主人が「今日は1時間早退して帰って来るからね」と出がけに言うので、「なぜ早退するの?」と聞いたら、「今日は大事な49ers の初戦だからだよ!」と言うのです。いよいよ全米人気NO.1のスポーツNFLが始まり、応援しているチーム San Francisco 49ersの初戦を家で見たいから早退すると言う、日本人の感覚からすると到底”ありえない”理由。しかも、会社側も早退を許可し、さらには、その週のいずれかの日に1時間残業すれば良し、としたのです。


 実は、こういったことはこれが初めてではありません。先月も同僚のバチェラーパーティーでラスベガスに弾丸旅行で行ったのですが、どうしても1日仕事を休まないといけませんでした。結局その日の朝に「歯医者の予約があっていけません」と病欠の電話を職場にいれて休んだのです。もちろん上司は、本当の理由を知っています。それこそ後日結婚式の時、「先週はベガスまで歯医者に行くなんて大変だったね」と冗談を言われていました。


 主人の仕事は、いわゆる「軍事産業」で、連邦政府管轄の仕事になります。私は、日本で働いたのが、ラジオ業界で生放送の現場という特殊な仕事でしたので、一般企業のことをよくわかっていません。それでも、二足のわらじで始めたライター業で、出版会社の方々と携わるようになり、編集者の皆さんが残業当たり前で働いている姿をみたり、また友人の働いている様子を聞いて、日本人は、自分の”私生活を犠牲にしてでも働くことが美徳”とされている環境にいたわけです。確かに、そうした”がむしゃらに働くことが素晴らしい”という精神があったから、日本も経済大国になりえたのでしょう。


 しかし、「クオリティ・オブ・ライフ」の観点で考えたら、断然主人の生き方の方がクオリティーは高いと思います。有給休暇や病欠で休んでいい日数をフルに利用し、会社側も社員の「休む権利」を尊重。どんな理由で休むかは気にしません。主人しかり同僚も、そうした融通がきくことに感謝し、その分真面目に頑張って働こうとなるのです。だから、主人が仕事の愚痴を言っていることを聞いたことがなく、正直はじめはすごいのんびりとした、楽な職場なんじゃないかと思ったほどです。(実状は危険と隣り合わせで、ストレスの多い仕事だと後でわかりました。)最近では、日本からやっとの思いで有給休暇をとってハワイに遊びに来る友達の姿を見て、「そんな思いまでして働いて、会社や国は一体何をしてくれるのだろう?」と疑問視するようになっています。結局主人の会社の融通性のおかげと、「休暇をとるのは当たり前」という考え方のおかげで、私たち夫婦は、気兼ねなく毎年2、3回旅行に行け、他にもプライベートな時間を楽しむことができ、夫婦としてのクオリティ・オブ・ライフも充実しているのです。例えば、主人の会社と同等の日本の会社で、日本人男性と結婚をしていたら、こんな生活はできなかったのではないかな、と思うと、主人の早退の理由も「あり」とすんなり受け入れられるのです(笑)


*注意* このコラムは、2015年10月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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