• Miki Cabatbat

No.11 料理は世界をつなぐ?!




 この家に嫁ぐまで、プエルトリコとフィリピンは、全く文化も違う、接点のない国同士と思っていました。しかし、驚いたことに、料理で多くの類似点があると知ったのです。どちらもスペインの植民地時代があったという歴史を考えれば納得です。

 

 例えば、皆様もよくご存知の「アドボ」は、スペイン語の”マリネ”という意味で、フィリピン料理では、肉や野菜の煮込み料理を指します。一方、プエリトリカンは、「アドボ」というと、チリ唐辛子やハーブに酢が入ったソースや調味料のことを指すのだそう。

 

 次に、「エンパナーダ」。スペイン語及びポルトガル語の「パンで包む」という意味の”empanar”という動詞が語源だと言います。フィリピン料理のエンパナーダは、肉とともにレーズンをいれたり、甘めの生地で作り、ペーストリー的存在。かたや、プエルトリコのエンパナーダは、ハワイでは通称”パナディージャ”(「小さなエンパナーダ」という意味の”empanadilla”が起源)と呼ばれ、肉にオリーブをいれ、おかずの一品扱いになります。


 さて、以前のコラムで、プエルトリコの女性は、赤い口紅をつけて年越しをするというお話しをご紹介したことがありますが、どうもプエルトリカンにとって、「赤」はとても大切な色のようで、実に料理にも反映しているのです。事実、プエルトリコ料理でよく使われるのがトマトソース。そして、代表料理の「ガンドゥレライス」や「パテレ」で必須な香辛料が”アチオーテ(Achiote)”という種。これは、味にアクセントをつける目的とともに、”赤色”を出すために使用されます。アチオーテは、別名アナットー(Anatto)とも言い、日本語では紅の木。元々は、中南米やカリブの先住民たちが料理、染色、化粧品、薬品等で利用していたもので、スペイン人が植民地化した時に発見。そして、それをフィリピンに持ち込んだのです。プエルトリカンの様に使用している印象はないのですが、義父の話しだと、香辛料というより、料理の色づけのために使用されることが多いのだそう。



 話しは飛んで、ある時家族パーティーに、グアムから遊びに来ていたアンティーの友人家族がいました。そこで、チャモロの伝統料理である「赤飯」を作ってくれたのです。日本の小豆色の赤飯とは違い、オレンジ色がかったご飯なのですが、私は、チャモロ人が赤飯を食べるなんて知らず、とても新鮮でした。しばらくしてからその事を思い出し、あの赤飯は一体何からできているのだろう?と考えました。そして、「グアムもスペインの占領下だった時代がある。ということは、あの赤飯ももしかしてアチオーテを使っているのかもしれない」と気づき、早速調べたら、大当たりでした!


 今まで全く結びつきもしなかった、プエルトリコとフィリピン、さらにはグアムまで、どれも世界地図でみたらとっても小さな島々が、(植民地という悲しい史実のもとではありますが)、こうして結びついていることに、これまたハワイという小さな島で発見したことにちょっと感動を覚えました。


(トップ画像が、香辛料アチオーテの材料となる実。写真:http://www.tt50plus.com/より)



*注意* このコラムは、2015年5月に「日刊サン」に掲載されたものです。

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